1970年
この時代を境に、国内需要の中心は、ブルドーザーから油圧ショベルへと徐々にシフトしていく。技術的には、操作性などの付加価値も重視されるようになる。
1972年、コマツは初めてマイニング用100トンダンプの開発に着手した。
ダンプトラックには、自動車と同じように動力を伝える「機械駆動」と、モーターで駆動する「電気駆動」との2種類があり、ここまでの開発機種はすべて機械駆動であった。しかし100トン以上となると、当時の技術力では、どこのメーカーも機械駆動ダンプの実現が不可能であった。
このためコマツでも初の電気駆動ダンプ開発に着手することになった。当初は100トン積のHD1000であったが、海外の現場でテストを行う際に車格をアップし、HD1200となった。
積載量120,000kg。
HD1200は、テスト車およびその後の量産品も、多くがソ連(当時)の鉱山で稼働した。
気温はマイナス60度に達し、金属、非金属、油脂などあらゆる材質が予測のできない変化を起こした。現地には多くの駐在員が張りつき、昼夜を問わず対策に苦労した。
この経験が「着氷多湿地域仕様」を作り上げ、1994年までに84台が出荷された。
ダンプトラック
運搬車であるダンプトラックの歴史は、現場での生産量を上げるため、積載量大型 化の歴史でもある。特に鉱山現場では、機械式・電気式での大型化競争に加え、GPSによる管理システム導入など、21世紀を迎えた今日も、その技術は日々進化しつづけている。